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GOOD MORNING 学園長!

第76話 絵本の翻訳で思う

主に、社会科学系や西洋美術系の学術書を翻訳してきた私が、たまたま絵本の翻訳の手伝いをすることになりました。
これまで一度もその経験をもたなかったので、一体どうなることやらと言う思いで始めたところ、ついつい翻訳よりも絵本のストーリーに感動してしまい、翻訳の途中から泣きながら翻訳をすることになってしまったのです。
翻訳を終えても、その感動は一週間後の今でも続き、校正,再校正、再々校正という具合に、熱心に取り組んでおります。
科学と絵本との間に,思考的に何か繋がるところがあるのか、と言うのが今の私の関心とするところです。
率直に言いますと、このたった一回の経験で抱いた一つの印象は、英文の表現では、“擬音”や“繰り返し表現”、あるいは“言葉よりも重い絵の表現”、さらには“故意に優しい言葉表現”などが、日本語表現に比べて著しく少なく、むしろ「多種多様の言葉による表現」の中に著者の感情が移入されているように思われたのです。
もっと分かり易く言いますと、日本の絵本は「絵重視」で、西洋のそれは「言葉重視」の印象を得たわけです。
従って、日本語に翻訳するにあたっては、いかに日本の子供たちの主観的感情に訴えかけるか,という点に翻訳の重点をおかざるを得ませんでした。
二つ目の印象は、英文の表現の中に窺える話の論理的展開を、日本語へ翻訳するときに、どうしてもうまく表現できないのです。日本語にも沢山の言葉があるはずなのに、どの言葉も結果的にお互いに似た感情表現の言葉であるため、英語を日本語に訳し換えると、どうしても絵本の内容が単調になってしまうのです。一体、その理由は何なのでしょうか?ここに書き留めて、今後の私の一つの課題にしたいと思います。

それでは、Good bye!